【退院後が不安な方へ】病院と家の違いと、家で介護を支えるチーム

家を囲むように支え手が集まる、家で介護を支えるチームのアイキャッチ画像 見守り・介護サービス
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退院の日が近づくと、うれしさと同じくらい不安が大きくなることがあります。

病院にいる間は、医師や看護師、リハビリの担当者など、たくさんの専門職が毎日そばにいてくれました。それが家に帰ると、そばにいるのは家族だけになります。何かあったらどうしよう、自分にちゃんと看られるだろうか。そう思うのは、とても自然なことです。

退院前にこんな不安はありませんか
  • 家に帰ってから何かあったらと思うと怖い
  • 家族だけで看られるか自信がない
  • 誰に相談すればいいのか分からない
  • 何から準備すればいいのか分からない
介護中の方
介護中の方

病院ではみなさんが見てくれていたのに、家に帰ったら私だけになるんですよね。

看護師
看護師

心配になって当然です。でも、家にも一緒に見てくれる人たちがいますよ。

この記事では、病院と家の違いを整理したうえで、家での暮らしを支えてくれるメンバーと、その始め方をまとめました。ひとりで抱えなくていいことが伝われば嬉しいです。

この記事から4本にわたって、家で過ごす毎日を支える訪問看護について書いていきます。まずはこの記事で、家での暮らしを支えるチーム全体を紹介します。続く記事では、訪問看護の役割、利用をためらうときに知っておきたいこと、訪問看護師への伝え方をお伝えします。

病院と家の違い

病院と家の違いを解説するセクションのバナー画像

まずは、病院と家では何が違うのかを整理してみましょう。

違いが分かると、家に帰ったときに何を補えばいいのかが見えてきます。家が病院より劣っているという話ではありません。それぞれに良さがあり、補い方も違うというだけです。

病院でそばにいた多くの専門職

入院中は、たくさんの専門職が関わっています。

医師、看護師、薬剤師、リハビリの担当者、管理栄養士、相談員。それぞれの専門家が、同じ建物の中にいて、いつでも声をかけられる状態です。夜間も看護師が交代で見ています。この環境に慣れていると、家に帰るときに不安になるのは当たり前です。

家では家族が中心になる暮らし

家に帰ると、毎日そばにいるのは家族です。

食事も、着替えも、トイレも、家族が中心になって支えることになります。専門職は必要なときに訪問する形に変わります。いつでも呼べる状態ではなくなるぶん、不安が大きく感じられます。

不安を感じるのは自然なこと

医療者ではない家族が、急に看る立場になるのです。心配にならないほうが不思議です。

大切なのは、その不安を家族だけで抱えないことです。家での暮らしにも、支えてくれるメンバーがいます。次の章から見ていきましょう。

家で過ごすことの意味と、病院や施設に頼る選択については、こちらの記事でまとめています。

【病人ではなく一人の人として】家で過ごす意味と施設に頼る選択
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家にもチームがある

家にも介護を支えるチームがあることを伝えるセクションのバナー画像

家での暮らしは、家族だけで支えるものではありません。

医療の面からも、介護の面からも、家に来て支えてくれる人たちがいます。家族は、そのチームの一員です。全部を背負う必要はありません。

家族だけで抱えなくていい理由

家族にしかできないこともあれば、専門職のほうが得意なこともあります。

体調を見ることや、医療的なケア、介護の技術、制度の手続き。できる人に任せたほうが、本人にとっても安心です。家族は、家族にしかできない関わりに力を使えます。

医療と介護の両方から支える人

家での暮らしを支えるしくみは、大きく分けて医療と介護の2つです。

医療は、主治医や訪問診療、訪問看護など。介護は、ケアマネジャーやホームヘルパー、福祉用具などです。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせて使えることを知っておいてください。

チームは少しずつ増やせる

最初から全部を頼まなくても大丈夫です。

暮らしてみて「ここが大変だ」と分かってから増やすこともできますし、体調の変化に合わせて見直すこともできます。まずは一つ、相談してみるところから始めましょう。

家を支えるメンバー

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ここからは、家での暮らしを支えるメンバーを紹介します。

それぞれ何をしてくれる人なのかが分かると、困ったときに誰へ連絡すればいいかが見えてきます。全部を使う必要はありません。必要なものから選んでいきましょう。

主治医と訪問診療

通院が難しくなったときは、医師に家へ来てもらう方法があります。

厚生労働省の資料では、医師が家に来る診療を、次のように分けて説明しています。

  • 訪問診療:患者宅に計画的、定期的に訪問し、診療を行うもの
  • 往診:患者の要請に応じ、都度、患者宅を訪問し、診療を行うもの

出典:厚生労働省「在宅医療の現状について」

定期的に診てもらいながら、急なときには相談できる形です。今かかっている病院で続けられるのか、近くの診療所に紹介してもらうのかは、退院前に主治医や相談員に確認しておきましょう。

訪問看護

看護師などが家に来て、体の状態を見たり、医療的なケアをしたりします。

看護師などが主治医の指示にもとづいて、療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。

出典:介護サービス情報公表システム「訪問看護」

点滴や痰の吸引のような医療的なケアだけでなく、体調を見てもらうことや、介護している家族の相談にのってもらうこともできます。訪問看護の役割については、こちらの記事でくわしくまとめています。

【医療処置がなくても使える】訪問看護の役割|早期発見と重症化予防
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訪問介護とホームヘルパー

ホームヘルパーが家に来て、体の介護や、暮らしの支援をしてくれます。

食事・排泄・入浴などの身体の介護と、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援があります。

出典:介護サービス情報公表システム「訪問介護(ホームヘルプ)」

介護に慣れないうちは、体の介護を実際に見せてもらえることも助けになります。どこまで頼めるかには決まりがあるので、ケアマネジャーに確認してみてください。

ケアマネジャー

介護保険のサービスを使うときの、相談役でありまとめ役です。

心身の状況や環境に応じてケアプランを作り、サービス事業者や関係機関との連絡・調整をしてくれます。

出典:介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」

どのサービスをどれくらい使うかを一緒に考え、事業所との連絡もしてくれます。迷ったときに、まず相談できる相手だと思ってください。

地域包括支援センター

まだ介護保険を使っていない段階でも相談できる、地域の窓口です。

保健・医療・介護・福祉のさまざまな面から、本人や家族、地域の人の身近な相談窓口になる地域の中核機関です。

出典:奈良市「地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)」

保健師や看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が相談に応じてくれます。どこに相談すればいいか分からないときの入口として覚えておくと心強い場所です。

出典:川口市「地域包括支援センターとは」

福祉用具の事業所

介護用のベッドや手すり、車いすなどを借りるときに頼る事業所です。

心身の状況や住まいに合う福祉用具を選ぶ手伝いや、取り付け・調整をしたうえで貸し出してくれます。

出典:介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」

道具が変わるだけで、介護がぐんと楽になることがあります。何を選べばいいか分からないときは、相談しながら決められます。

ほかにも頼れるサービスがあります
  • 訪問リハビリテーション:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います
  • 訪問入浴介護:看護職員と介護職員が自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴の介護を行います

出典:介護サービス情報公表システム「訪問リハビリテーション」/介護サービス情報公表システム「訪問入浴介護」

チームの始め方

在宅介護のチームの始め方を紹介するセクションのバナー画像

メンバーが分かったら、次は始め方です。

難しく考えなくて大丈夫です。入院中なら病院の相談窓口、家にいるなら地域包括支援センター。この2つを覚えておけば、そこから順番につながっていきます。

入院中なら退院前に相談

入院している間に、退院後の生活について相談しておくと安心です。

退院後に介護サービスが必要なときは、病院の相談員(ソーシャルワーカー)に相談するよう案内している市区町村もあります。

出典:金沢市「現在、病院に入院しているのですが、要介護認定の申請をする必要があるのですか。」

相談員は、退院後の暮らしを一緒に考えてくれる人です。退院の日が決まる前から相談して大丈夫です。入院の準備については、こちらの記事でまとめています。

入院準備に必要なもの【100均で揃うリストと病院で借りられるもの】
入院準備に必要なものを看護師が解説します。衣類や食事の道具は病院で借りられることが多く、自分で買うものは限られます。100均で揃えるものと病院で借りられるものを分けて整理しました。

介護保険の申請から始める

介護サービスを使うには、市区町村に要介護認定を申請します。

入院中でも申請はできますが、申請の時期には注意が必要です。中央区のページでは、次のように案内されています。

入院中の場合は、状態が変化しやすいため、正しい調査・認定ができない場合があります。主治医とよく相談して、病状が安定したり退院の予定が決まった時期に申請してください。

出典:中央区「要介護・要支援認定の申請」

認定のための調査は、入院先でも受けられます。また、本人が申請できないときは、家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに代行してもらえる場合があります。どこまで代わりにしてもらえるかは、市区町村や相談先によって違います。

出典:春日井市「病院に入院中の場合、要介護認定の申請は必要ですか?」/中央区「要介護・要支援認定の申請」

認定を受けたあとも、体の状態が大きく変わったときは、区分を変える申請(区分変更申請)ができます。

出典:江東区「要介護・要支援認定の申請について(区分変更申請)」

看護師の視点|すすめられたときが動きどきです

病院のスタッフやケアマネジャー、訪問看護師から「介護保険の申請を」「区分変更を考えましょう」と声をかけられることがあります。

それは、今のうちに手続きをしておけば、必要な時期に必要な支援が間に合うと判断しているからです。認定には日数がかかりますし、入院から退院までの期間は、思っているより短いこともあります。

介護と生活に追われているなかで、書類や手続きは本当に大変だと思います。それでも、すすめられたときは、できるだけ早めに動いてもらえると安心です。難しいときは、声をかけた相手に「どうすればいいですか」と聞いてみてください。

医療保険で受けられる場合

訪問看護は、介護保険だけでなく医療保険で受けられる場合もあります。

どちらになるかは、年齢や病気、介護認定の有無などによって決まります。判断は主治医や訪問看護ステーション、ケアマネジャーに確認してください。自分で決めるものではないので、分からなくて大丈夫です。

まず誰に声をかけるか

迷ったときの連絡先は、次のように覚えておくと分かりやすいです。

  • 入院中:病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)
  • 家にいて、まだ介護保険を使っていない:地域包括支援センター
  • すでに介護保険を使っている:担当のケアマネジャー
  • 体調のことで困っている:主治医、訪問看護を利用していれば訪問看護ステーション

どこに電話しても、必要な窓口につないでもらえます。間違えても大丈夫なので、まずは声をかけてみてください。

在宅介護のチームのよくある質問

在宅介護のチームに関するよくある質問をまとめたセクションのバナー画像

最後に、退院後の暮らしについてよくある疑問をまとめました。

制度の細かいところは、住んでいる市区町村によって案内が違うことがあります。最終的な確認は、地域の窓口でお願いします。

家族だけで見るのは無理なのか

無理だと決まっているわけではありません。

ただ、家族だけで抱えると、介護する人が疲れきってしまうことがあります。使えるものは使いながら続けるほうが、結果的に長く家で過ごせます。

費用はどれくらいかかるのか

介護保険のサービスは、所得などに応じて1割から3割の自己負担で利用できます。

使う量やサービスの種類によって変わるので、実際の金額はケアマネジャーや市区町村の窓口に確認してください。負担が重いときに使える制度もあるので、遠慮せず相談しましょう。

全体をまとめてくれるのは誰か

介護保険のサービスを使っている場合は、ケアマネジャーがまとめ役になります。

医療のことは主治医や訪問看護、暮らしのことはケアマネジャー、と分けて考えると相談しやすくなります。困ったことは、どちらに言っても構いません。連携して動いてくれます。

家に来る人を増やしたくないとき

他人が家に入ることに抵抗があるのは、自然な気持ちです。

回数を少なくしたり、まずは一つのサービスだけ試したりすることもできます。気になることは、遠慮せずケアマネジャーに伝えて大丈夫です。このためらいについては、こちらの記事でまとめています。

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家に他人を入れたくない、まだ自分たちでできる。訪問看護や介護サービスをためらうのは自然なことです。提案される理由、初めましての不安をやわらげる方法、契約のときに聞いておきたいこと、断るときに覚えておきたいことを看護師がまとめました。

医療処置がなくても訪問看護は使えるのか

点滴や吸引などの医療処置がなくても、訪問看護は利用できます。

体調の変化を見てもらったり、薬の飲み方を一緒に考えてもらったり、介護のしかたを相談したりできます。利用できるかどうかは、主治医やケアマネジャーに相談してみてください。医療処置以外の関わりについては、こちらの記事でまとめています。

【医療処置がなくても使える】訪問看護の役割|早期発見と重症化予防
訪問看護は医療処置が必要な人だけのものではありません。訪問看護で働いていた看護師が、病状の観察や薬・排便・体重の管理など医療処置以外の関わりと、それが早期発見・早期治療、重症化予防、機能の維持・向上につながる役割をまとめました。

退院後に体調が変わったときの連絡先

訪問看護を利用している場合は、まず訪問看護ステーションに連絡しましょう。

利用していない場合は、主治医に相談します。夜間や休日の連絡先は、退院のときに確認しておくと安心です。急なときの連絡の流れは、こちらの記事でまとめています。

【病人ではなく一人の人として】家で過ごす意味と施設に頼る選択
家で看たいけれど続けられるか不安、施設に頼るのは申し訳ない。そんな迷いに、訪問看護とホスピスで働いてきた看護師が寄りそいます。家で過ごす意味やためらう理由、病院や施設に頼る選択、家で過ごすための支えと急なときの連絡の流れをまとめました。

家で介護を支えるチームのまとめ

家で介護を支えるチームのまとめを示すセクションのバナー画像

病院と家では、そばにいる人が変わります。けれど、家でも支えてくれる人たちがいます。

この記事の振り返り
  • 退院後に不安になるのは自然なこと
  • 家にも医療と介護のメンバーがいる
  • ケアマネジャーが暮らしのまとめ役
  • 地域包括支援センターは相談の入口
  • 入院中は病院の相談員に相談する
  • チームは少しずつ増やしていける

家族は、ひとりで見なくていいのです。一緒に見てくれる人がいると思えるだけで、気持ちが少し軽くなります。

チームの一員である訪問看護師と、どう話せばいいかは、こちらの記事でまとめています。

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