介護に必要なものを揃えようとして、値段の高さに驚いたことはありませんか。
病院で働いていたころ、入院される方に身の回り品の持参をお願いしたり、リース契約をご案内したりするのも看護師の仕事でした。コップ、タオル、収納ケース、着替えを入れる袋。細かいものを一つひとつ揃えていただくお願いです。
あるとき、ご家族が用意された品を見ていて、こう教えてくださったことがありました。

これもあれも、実は100円ショップのものなんですよ。

え、そうなんですか。よく考えられていますね。
使い勝手がきちんと考えられていて、しかもデザインまでかわいい。介護に使うものは実用性だけで選ぶもの、と思い込んでいた自分に気づかされました。それ以来、100円ショップの売り場を見る目が変わりました。
- 介護で100均が役立つ理由
- 食事や入浴など場面ごとの活用法
- 収納と整理を整えるコツ
- 買うときに気をつけたい点
この記事では、介護の場面ごとに100円ショップのアイテムがどう役立つのかを、看護師の視点で整理しました。今日からできる工夫が見つかるはずです。
介護で100均が役立つ理由

介護に使う道具を、すべて専用品で揃える必要はありません。
もちろん、身体を支えるものや医療的な用途のものは専用品が必要です。ただ、日々の暮らしを少しラクにする道具は、身近なもので十分に代用できます。まずはその理由から整理します。
介護用品との価格差
介護用品が高く感じられるのは、専用に設計されているからです。
少数の人に向けて作られたものは、どうしても価格が上がります。しかし用途をよく見ると、一般向けの商品で同じ役割を果たせるものが少なくありません。
たとえば、滑りにくいマットや小分けの容器。介護用として売られているものと、日用品として売られているものでは、求める働きが同じでも価格が大きく違う場合があります。
合わなければ変えられる気軽さ
100円ショップの利点は、価格そのものより「試せること」にあります。
介護に必要な道具は、その人の状態によって合う合わないが大きく分かれます。高価なものを買ったのに使わなかった、という経験をお持ちの方も多いはずです。
まず安価なもので試し、合うと分かってから専用品に切り替える。この順番なら、無駄になる買い物がぐっと減ります。
消耗品として割り切れる利点
介護では、汚れたら替えたいものが数多く出てきます。
繰り返し洗って使うより、ある程度使ったら替えたほうが衛生的な場面は確実にあります。価格が抑えられていれば、その判断がしやすくなります。
- 汚れが落ちにくくなったとき
- においが気になり始めたとき
- 感染対策が必要な時期
替えどきに迷わないというのは、介護を続けるうえで意外と大きな利点です。
食事の場面で使えるグッズ

食事は、道具を少し変えるだけで負担が変わる場面です。
こぼす、すべる、量が多すぎる。こうした困りごとは、本人の力ではなく道具で解決できることがほとんどです。ここでは3つの視点で紹介します。
持ち手のついた食器
食事のときにまず見直したいのが、食器の持ちやすさです。
持ち手のついたお椀やマグカップは、片手でも安定して持てます。手のひら全体で包み込む必要がないため、握力が弱くなった方でも扱いやすくなります。
あわせて見たいのが器の深さです。すくったものが縁で止まる深さがあると、最後まで自分で食べやすくなります。自分で食べられる時間を延ばすことは、食事の楽しみを守ることにもつながります。
小分けと保存の容器
食事の量を調整したいときは、小分けの容器が役立ちます。
一度に食べきれない場合でも、あらかじめ分けておけば、残った分をそのまま保存できます。食べた量が目で見て分かるため、食事量の記録にも役立ちます。
- 1食分ずつ取り分ける容器
- 冷凍と解凍に使えるもの
- ふたが開けやすい形のもの
ふたの開けやすさは、実際に手に取って確かめてください。かたく閉まるタイプは、ご本人が自分で開けられないことがあります。
こぼれを受け止める工夫
こぼすこと自体を責めない環境づくりも大切です。
テーブルに撥水加工のマットを敷いておけば、こぼれても拭くだけで済みます。衣類を守るエプロンやタオルも、複数枚あると洗い替えに困りません。
片づけの手間が減ると、こぼしても大丈夫という空気が生まれます。この安心感が、食事の時間そのものを穏やかにします。
入浴と清潔ケアのグッズ

入浴は、事故が起きやすく、かつ手間もかかる場面です。
道具でカバーできる部分は、遠慮なく道具に任せてください。安全に関わる部分だけは、価格ではなく確実さで選ぶという線引きが大切になります。
浴室の転倒対策
浴室でまず備えたいのが、滑りへの対策です。
床に敷く滑り止めマットや、浴槽の縁に掛けるタオルなど、身近なもので改善できる部分があります。ただし、体重を預ける手すりのようなものは、必ず専用品を選んでください。
滑り止めや小物は身近なもので十分ですが、つかまって体を支えるための道具は別です。強度が確認されていないものに体重をかけると、外れたときの転倒がかえって大きなけがにつながります。
「補助するもの」と「体を支えるもの」を分けて考えると、選び方に迷いません。
保湿とスキンケアの小物
入浴後のスキンケアは、道具を手元にまとめておくと続けやすくなります。
クリームを小分けにする小さな容器があると、必要な分だけ取り出せて衛生的です。使うものをまとめて置けるトレーがあれば、探す手間もなくなります。
高齢になると皮膚は乾燥しやすくなります。かゆみや傷を防ぐうえで、保湿は毎日続けたいケアです。続けやすい形に整えることが何より大切になります。
洗面まわりを整える道具
洗面所は、水が飛び散りやすく散らかりやすい場所です。
使うものをトレーにまとめておくと、出し入れが一度で済みます。歯ブラシやコップを立てるスタンドも、乾きやすい形のものを選ぶと衛生的です。
- まとめて運べるトレー
- 水が切れるスタンド
- 掛けられるタオルホルダー
買わずに用意できるものもあります。ペットボトルのキャップに小さな穴をいくつか開けると、簡易のシャワーボトルとして使えます。洗髪のすすぎや、おむつ交換のときの洗浄に便利です。
水圧がやわらかく、寝たままの姿勢でも扱いやすいのが利点です。ぬるま湯を入れて使い、汚れたら本体ごと取り替えられる手軽さもあります。
トイレまわりで役立つグッズ

トイレやおむつ交換のケアは、介護のなかでも負担が大きく、気持ちの面でもこたえる場面です。
道具でカバーできることは意外と多くあります。手間とにおいを減らせれば、介護する側の消耗は確実に軽くなります。
においを閉じ込める袋
もっとも効果を感じやすいのが、においを抑える袋です。
防臭性のある袋に入れてから捨てるだけで、部屋のにおいはかなり変わります。ごみ収集までの日数が空く地域では、その差はさらに大きくなります。
袋はケアをする場所のすぐそばに置いておくのが続けるコツです。取りに行く手間があるだけで、使わなくなってしまいます。
手袋とエプロンの使いどころ
ご家庭での介護では、毎回手袋やエプロンを使うとは限りません。
ただ、下痢が続いているときや感染症が疑われる時期、手に傷があるときなどは、使ったほうが安心できます。毎回と決めるのではなく、そのときの状態で判断すれば十分です。
そして使うと決めた場面では、洗って繰り返すより使い捨てのものを選ぶほうが確実です。枚数を気にせず替えられることに意味があります。
汚れを防ぐシート類
汚れは、起きてから拭くより先に防ぐほうが手間が少なくて済みます。
ベッドや椅子に防水性のあるシートを敷いておけば、万一のときも交換だけで対応できます。洗濯の量そのものを減らせる点も見逃せません。
何枚か用意して、汚れたらすぐ替えられるようにしておくと安心です。
洗濯の負担そのものを減らしたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

収納と整理に使えるグッズ

介護が始まると、家の中のものは驚くほど増えます。
必要なときに必要なものが見つからない状態は、それだけで消耗のもとです。整理は、介護をラクにするための立派な工夫だと考えてください。
薬の管理に使うケース
薬の管理は、道具で失敗を防げる代表的な場面です。
曜日や朝昼晩で仕切られたケースを使えば、飲んだかどうかが目で見て分かります。飲み忘れや二重服用を防ぐうえで、これほど手軽で効果的な方法はほかにありません。
ただし、薬の内容や飲み方を変えるときは必ず医師や薬剤師に確認してください。ケースはあくまで管理を助ける道具です。
介護用品をまとめる収納
使う場所ごとにまとめておくと、探す時間がなくなります。
ケア用品はケアをする場所のそばに、外出用のものは玄関に。動線に沿って置き場所を決めるだけで、動きに無駄がなくなります。
- 持ち運べる取っ手つきの箱
- 重ねて置ける四角い形
- 中身が見える透明なもの
家族で共有するラベル
複数人で介護をしている場合、置き場所の共有が欠かせません。
ラベルを貼っておけば、誰が見ても同じ場所に戻せます。特定の人しか分からない状態は、その人が不在のときに家族全員が困ることになります。
ラベルを貼る作業自体が、介護を一人で抱えない仕組みづくりにつながります。
100均グッズのよくある質問

最後に、購入前によく挙がる疑問をまとめました。
使い方を少し工夫するだけで、同じ商品でも満足度は大きく変わります。気になる項目から確認してください。
耐久性への不安
消耗品として割り切れるものは、耐久性をあまり気にする必要はありません。汚れたら替えるという使い方に向いています。
一方で、体を支える用途に使うものは例外です。強度が必要なものは専用品を選んでください。
衛生面での使い分け
直接肌や口に触れるものは、こまめに交換するか使い捨てにするのが基本です。
洗って繰り返し使うものは、乾きやすい形状を選ぶと清潔を保ちやすくなります。
まとめ買いの方法
店舗を回る時間が取れない場合は、オンラインでまとめて注文する方法があります。
自宅への配送だけでなく、近くの店舗で受け取れる場合もあります。介護で家を空けにくい方には、どちらも選べると便利です。
買いすぎを防ぐコツ
安いと感じると、つい多めに買ってしまいがちです。
まずは一つ試して、使い続けられると分かってから買い足してください。使わないものが増えると、かえって整理の手間が生まれます。
家族との共有方法
置き場所と使い方を決めて、ラベルや簡単なメモで共有しておくのが確実です。
言葉で伝えるより、目に見える形にしたほうが確実に伝わります。
介護の100均グッズまとめ

介護に使う道具を、すべて専用品で揃える必要はありません。日々の暮らしをラクにする工夫は、身近な売り場の中にもたくさんあります。
- 試してから専用品に移る買い方
- 食事は滑り止めと小分けで安定
- 入浴は安全に関わる部分だけ専用品
- トイレまわりは防臭と使い捨てが要
- 収納とラベルで家族と共有
あのとき教えてくださったご家族のように、工夫は現場にいる人の手から生まれます。まずは一つ、気になったものから試してみてください。
離れて暮らすご家族の見守りを考えている方は、こちらの記事もどうぞ。

道具の工夫だけでなく、ご自身が休む時間についてもこちらで触れています。

体の姿勢を支える道具については、こちらの記事でまとめています。

道具を味方につけて、介護の毎日が少しでも軽くなりますように。
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